以前からFacebookが仮想通貨市場に参入すると言われてきましたが、つい先日Facebookが独自通貨「Libra(リブラ)」を発表しました。
というわけで、仮想通貨の知識が無い方にも「Libraとは何なのか?また、そのメリットは?」などについて分かりやすく解説していきたいと思います。
Libraとは?
Facebookの仮想通貨「Libra」の目的は決済を今より簡単かつ便利に行うという非常にシンプルなものです。
具体的なメリットとしては
- 送金の簡素化
- 手数料の軽減
- 銀行口座を持っていない人でも使える
というメリットがあります。
それぞれ順番に解説していきましょう。
(1)決済の簡素化
現在の世界では、とにかく決済作業に手間が掛かります。ATMでの決済は論外ですが、オンラインバンクであっても、まず自分の口座に入金をし、次に相手の口座番号を入力する必要があります。それを便利にしたのがクレジットカードですが、セキュリティー面に不安が残ります。
一方Libraに関わらず、仮想通貨にはワンクリックで相手に送金できるメリットがあります。セキュリティー面での細かい説明は省きますが、仮想通貨はブロックチェーンという技術を使っている為、データの改ざんは不可能なのでセキュリティーが高いのです。
ここまでは他の仮想通貨にも言えることなのですが、たとえどんなに便利な決済方法でもあっても使える先が少ないと話になりません。
ちょうど日本でも流行っている電子マネー、PayPayやLINE Payなどをイメージすると分かりやすいでしょうか?
(2)手数料の軽減
例えば銀行間送金の場合、自分の利用している銀行と受け取り側の銀行で手続きが発生します。そのためシステム利用料や人件費が発生してしまう為、どうしても余分なコストが掛かります。
クレジットカードの場合は、受け取り側(サービス提供側)が決済を代行してくれているクレジットカード会社に手数料を支払うことで成り立っています。
しかし、仮想通貨の場合は仲介者無しに直接やりとりができる為、送金にまつわる手数料を限りなくゼロに近づけることが可能なのです。
つまり、仮想通貨払いが普及することによって手数料の軽減はもちろん、企業側は今より安くサービス提供できるようになります。もしかしたら今私たちが利用しているサービスも今より安くなるかもしれません。
(3)銀行口座を持っていない人でも使える
仮想通貨の場合、パソコンやスマートフォンに仮想通貨を保存しておけるので銀行口座をわざわざ開く必要はありません。
たとえば電子マネーの場合、Line PayだったらLineの利用者同士で簡単に送金できますよね?しかしLine Payの場合はLineアプリの利用者のみしか使えません。
その為Line Payを利用しようとすると、わざわざLine Payをダウンロードしなければいけません。普段LINEを利用している人は良いですが、そうではない人はめんどくさいですよね。日本の電子マネーサービスの目的は通貨ではなく、自社のサービスを使ってもらうこと自体に意味がある為です。
しかし仮想通貨の場合は、どのアプリ・サービスを使うか?が目的ではなく、通貨自体を使ってもらうことが目的なので、たとえばアプリ「A」でもアプリ「B」で使えることが多く、各仮想通貨はできるだけ多くのアプリで利用できるように積極的です。
Libraが話題になっている理由
Libraが注目されているポイントの1つに提携企業の多さが挙げられます。
たとえばVISA/MasterCard/PayPalなどの決済サービスに加え、Ebay/Uber/Spotifyなど、業種を問わず多くのグローバル企業との提携を発表しています。
多くのサービスで使えるというのは、それがそのまま強みになります。
提携企業参考:https://diamond.jp/articles/-/205832
既に世界にはかなりの数の仮想通貨が存在していますが、なぜLibraはローンチ(公開)前にも関わらずここまで多くのグローバル企業と提携できたのでしょうか?
仮想通貨決済が普及しない理由
提携企業の多い理由を説明する前に、「仮想通貨決済が普及しない理由」について説明します。これら不満点を解消することを期待されているのがLibraなのです。
たとえばあなたが何かしらのお店をやっていたとします。「便利な電子マネーを導入するか」と思った時に導入するのはPayPayですか?Line Payですか?楽天Payですか?・・・きっと迷うことになるでしょう。
全て導入すれば客としては便利ですが、あなたはそれにまつわる費用の負担や、管理で大忙しになるでしょう。
仮想通貨も電子マネーよりコストも低く利便性が高いのですが、一方で現在は星の数ほどの仮想通貨市場に流通しておりユーザーは分散的です。たとえばメジャーな「Bitcoin」も「Ethereum」も「Ripple」の3つを取り扱うことにしたとしましょう。これら3つの通貨を1つのアプリ(ソフト)で支払いを受付けられるものもありますが、お店の経営をするとなると、法定通貨に換金する必要があります。しかし、現状では仮想通貨の値動きは安定しておらず、資金管理で大変な思いをするでしょう。
(※例として電子マネーも出してしまったのですが、電子マネーは日本円に対して固定レートですが、手数料や導入面では仮想通貨とは別物です。)
要するに現状では、企業や個人店が仮想通貨決済を導入しようとした時には
- どれだけ利用されているのか?
- 価格の変動に対する不安
の2つに悩まされることになります。
これらが本来決済向けである仮想通貨が、決済用として普及しない主な原因です。
Libraは現状の不満点を全て解決する?
仮想通貨の値動きが激しいのは、価格の裏付けがない為、純粋に需要と供給で成り立っており、現在はそれが投機商品として扱われている為に起こります。
ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨は「管理者(中央銀行)に依存しない」ことを理念としていますが、仮想通貨払いだけで生活できる世界ではない現状、ある程度の価格の裏付けがないと導入企業にとってはリスクしかありません。
FacebookのLibraは法定通貨のほか、短期国債などの価格変動率の低い資産によって価値が担保されている為、流通後もある程度の安定性を保つことが予想されています。たとえばですが、「1Libra=100円」だったのが明日の朝起きたら「1Libra=1,000円」になっていた、なんてことが起こりにくいようになっています。
Facebookには20億人を超えるユーザーがおり、そのほとんど利用しているMssengerアプリでLibraを使うことができるようになります。
更に加えて、全世界で約15億人が利用しているSNSアプリ「WhatsApp」でも使うことができると発表されました。
導入する企業にとっては、Libraにさえ対応しておけば市場に溢れる様々な通貨への対応に頭を悩まさなくても良いわけで、これだけのユーザーが利用可能になるというのが最大のメリットです。
まとめ
利用者の多さが見込まれるLibraに提携する企業が増える→Libraを使う人が増える→決済可能な企業が増える
という好循環になることが期待されているのがFacebookの独自通貨「Libra」です。
できるだけ仮想通貨が分からない方にも分かりやすく解説する為に、途中で電子マネーを例に出したのですが、ご理解いただけましたでしょうか??
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